逃げようか、さぁ。

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――僕が聞いても、教えてくれなかったのに。 過去に、理由を尋ねたことはあった。 だが、それとなくはぐらかされて終わる。 フューリーは確かに驚いていたし、同時に少しだけ苛ついていた。 「―――――」 リヴェスはフューリーに聞こえないようにベルゼにそっと打ち明けた。 それを聞いたベルゼは、うん、と頷いてリヴェスの頭に手を置いた。 「お前、騎士になれるよ。大丈夫、俺が保証する」 「ほんとっ!?」 「大切なのは志、だからな」 ぱぁっ、とリヴェスの表情が明るくなって、それにまたフューリーは苛ついて。 フューリーはベルゼから引き離すようにリヴェスの腕を強く引いた。 「フューリー……?」 「そろそろ行かないと。あくまでも僕達は逃走中なんだから」 と、そう言われてリヴェスは思い出した。 自分達……正確には自分が、勉強が嫌で家から脱走してきたのだと。
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