ネオン

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……………え? びっくりした。 心臓が跳ね上がったのが自分でもわかった。 なんだ、こいつ…? 「両親の事? それとも友達関係?」 「だっ、黙れっ!!」 なんで、なんで。 あたしが封印してきた事をとこうとするんだっ! なんでこいつはわかるんだ!? 「お前誰だ?」 男はすっと名刺を出してきた。 あたしは乱暴に取り、目を通した。 こいつの会社、あの超有名な会社じゃねえかっ! よく知らないけどっ。 名前は―… 「一村いち?」 「はじめですー!!」 「えっ」 ふーん。 一ってかいてはじめって読むんだ。 「君の名前は?」 「誰が言うか」 金貰ってねぇしな。 男はひとつため息をついた。 「君、真央に似ているようで似てないねっ」 「真央って誰だし」 「俺のお嫁さんっ。 まだ、籍は入れてないんだけどっ、一緒に住んでるんだっ。 ちなみに一軒家っ。 弁護士やってるんだけど、家ではふつうの主婦? 家事とかなんでもできるし、料理なんかめっちゃうまいっ! んで、めっちゃ綺麗で可愛ーのっ」 子供みたいに笑顔で話す、イチ。 ……じゃなかたっけ? まぁ、いいや。 真央って人の事、本当に好きなんだな。 羨ましいな。 「そうだっ! 今日家に来ない!?」 目をキラキラさせながらいうイチは子犬みたい。 「あっ。でも、もう家に帰る時間だよね」 家……? あたしに帰る家なんかないよ。 「大丈夫、行く」 「本当?」 「平気」 ぱあっと明るくなるイチ。 「んじゃ、車そこに止めてあるから行こっ」 「あっ、ちょっと」 あたしの手を掴んで車に走るイチ。 なんか、こいつ憎めないや。 あたしらしくないっ。
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