ネオン

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「紹介するよ。こちら、真央」 イチがそういうと真央さんはあたしのためにスリッパを出してくれた。 「真央です。どうぞ上がって? お名前は、えーと…」 「小村杏奈です」 「杏奈ちゃんかっ。さぁ、どうぞ」 真央さんはあたしをリビングまで誘導してくれた。 リビングはとても広くて、白で統一されていてとても綺麗だった。 「俺、着替えてくる」 そういうとイチはリビングを出ていってしまった。 なんか気まずい。 そう思っていたら真央さんが口を開いた。 「杏奈ちゃん、ご飯食べた?」 「い、いえ」 真央さんかなり綺麗なんだもん。 緊張する。 「あたしもまだなんだ。多分イチも。だから一緒に食べよ?」 「でも…」 「いいの。遠慮しないで」 真央さんは、ソファーにかかっていたエプロンを付け、サラサラの長い髪を2つにまとめていた。 か、可愛いー。 あたしの視線に気付いた真央さんは少し顔を赤めていた。 「そんなに見られると照れちゃうよ」 「あ。すいません」 「いいえ。座って待ってて」 そういうと真央さんはキッチンに姿を消した。 あたしは真っ白なソファーに座るのはためらったが、座らせてもらった。 何かを炒める音がリビングに響いた。 「あの…」 「ん?」 あたしはずっと疑問に思っていたんだ。 「なんで…こんな初めてあった他人にこんなに優しいんですか?」 あたしは真央さんの返事を聞く前に思っている事を全て吐き出した。 「高校生がこんな時間に来たらふつうおかしいと思いません? 明日は土曜日だけど、おかしいと思いますよね? しかもご飯までご馳走するとか、どんだけ警戒心ないんですか?」 まだ、言いたいことはあったけど、あたしは言うのもやめた。 あたし何、熱くなってるんだろう? 下を向いてると、ずっと黙っていた真央さんが口を開いた。
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