すてねこ は いけめん に しんかした!

4/5
28人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「でもさ、猫って人間になれるんだねー」 「だいぶ今更だな。ほら、昔話とかで狐とか狸とかが人間に化けるとかあるだろ?」 「うんうん」 「あれも実話ね。あいつらが出来て俺が出来ないわけがないだろ?」 「じゃあ他の動物もなれるの?」 「いや、動物の中でも知能が発達してなきゃ駄目。 知能が発達してるっていっても、猿とかゴリラみたいに人間に近いって意味じゃなくて、単に頭がいいってことな」 「なくたは頭いいんだ?」 「俺血統書付きだもん」 「へえ! でも血統書つきでも耳と尻尾はそのままなんだね~」 (血統書つき=頭がいい という理屈がよく分からないが、それは置いといて。) 「これは、わざと」 「え? なんで?」 そらがなくたを見上げた瞬間、反転。 視界は彼の着ているシャツに覆われた。 手首を捕まれているため、そらは身動きが取れない 「人間って、こんな風に迫られるのが好きなんだろ?」 なくたが耳元で囁く。 程よい低音と温かい吐息 少しビブラートがかかって、心までふるえるようで。 同じ人間なのに、なんだか固い。 でも捕まれた手首から優しさが伝わってくる... これが、『オトコノコ』 とかなんとかで、普通の女の子なら腰砕けなのだろうが。 「それは、たぶん変わった性癖の人だけ! なんか、クリーチャーみたいだよ!」 この一言は、今まで人間が選ぶ癒し系動物の上位に君臨していて、しかもその中でも珍しい血統書つきというハリーポッターでいったらスリザリンに入れるぜ、黙れ!マルフォイ! な彼の心を抉るには効果はばつぐんだった。 「ウツダ、シノウ('A`)」 これ以上心の被害を受けないためにか、すぐに耳が縮んで人間のものになり、尻尾も引っ込んだ。 おめでとう、なくたは クリーチャーから人間にしんかした! 「凄い凄い!掃除機のコードみたい! もう一回やって!」 「黙れ、ボキャ貧が!」 鼻声である。        
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!