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「でもさ、猫って人間になれるんだねー」
「だいぶ今更だな。ほら、昔話とかで狐とか狸とかが人間に化けるとかあるだろ?」
「うんうん」
「あれも実話ね。あいつらが出来て俺が出来ないわけがないだろ?」
「じゃあ他の動物もなれるの?」
「いや、動物の中でも知能が発達してなきゃ駄目。 知能が発達してるっていっても、猿とかゴリラみたいに人間に近いって意味じゃなくて、単に頭がいいってことな」
「なくたは頭いいんだ?」
「俺血統書付きだもん」
「へえ! でも血統書つきでも耳と尻尾はそのままなんだね~」
(血統書つき=頭がいい
という理屈がよく分からないが、それは置いといて。)
「これは、わざと」
「え? なんで?」
そらがなくたを見上げた瞬間、反転。
視界は彼の着ているシャツに覆われた。
手首を捕まれているため、そらは身動きが取れない
「人間って、こんな風に迫られるのが好きなんだろ?」
なくたが耳元で囁く。
程よい低音と温かい吐息
少しビブラートがかかって、心までふるえるようで。
同じ人間なのに、なんだか固い。
でも捕まれた手首から優しさが伝わってくる...
これが、『オトコノコ』
とかなんとかで、普通の女の子なら腰砕けなのだろうが。
「それは、たぶん変わった性癖の人だけ! なんか、クリーチャーみたいだよ!」
この一言は、今まで人間が選ぶ癒し系動物の上位に君臨していて、しかもその中でも珍しい血統書つきというハリーポッターでいったらスリザリンに入れるぜ、黙れ!マルフォイ! な彼の心を抉るには効果はばつぐんだった。
「ウツダ、シノウ('A`)」
これ以上心の被害を受けないためにか、すぐに耳が縮んで人間のものになり、尻尾も引っ込んだ。
おめでとう、なくたは クリーチャーから人間にしんかした!
「凄い凄い!掃除機のコードみたい! もう一回やって!」
「黙れ、ボキャ貧が!」
鼻声である。
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