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時計を見るともう、12時を回っていた。
渚(まだ仕事が残ってるのに……)
今日も徹夜するのを覚悟していたが、さすがに3日も続くと頭がおかしくなってくる。
横で寝ているこの少年が、頭のおかしくなった証拠の一つ。
血まみれの少年を連れてくるとは……
いい度胸だ。
そう思いながら溜め息をつくと『証拠』が動き出した。
少年「う……っつ!」
傷口を手で抑えながら、いかにも『痛いです』的な表情を見せる。
その様子を呆れ顔で渚は見つめる。
少年も気付いたのか、こっちを見ていた。
少年(………誰だこいつ)
と目がいっているようにも、見えないでもないが
…それはこっちが聞きたい。
それより見すぎだ。
博物館に飾られている剥製(はくせい)のような気分だ。
渚「何?」
少年「あ…いや…ごめん」
ごめん……?
いっておくが、私は君より何歳も年上だ。
そこは『ごめん』じゃなくて『すみません』だろ。
渚「そ…」
そんな事、言えるわけもなく話しを断ち切るように言葉を返す。
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