探偵募集

12/22
前へ
/827ページ
次へ
腹に響くベルハルドの声に、ルアンは引き攣った笑みを浮かべ続けている。 顔といい雰囲気といい、ベルハルドを恐れる気持ちもわからなくはないが――― 笑みを一切浮かべていない表情の下で、ベルハルドは一人沈んでいた。 こんな見た目ではあるが、何気にガラスのハートの持ち主のようである。 「―――拒否権は?」 「アンリ相手に、あると思う?」 「…………」 ルアンのその言葉に、つい納得してしまうベルハルド。 あの猪突猛進娘の中に、きっと『NO』という言葉はないのだろう。 それがわかりきっているからこその、ルアンの一言である。 彼なりにいろいろ葛藤した経験があるのか、そのどこか疲れたような表情は哀愁を誘うものだった。 「とりあえず、教室まで来てくれない?」 クラス全員の命(?)がかかっているから――― そんな副音声が聞こえてきそうな、今日この頃だった。 .
/827ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25245人が本棚に入れています
本棚に追加