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「なぁアンリ~、結局何のためにここにつれてきたわけ?」
観葉植物の葉を丁寧に拭きながら、ルチアが何とものんびりとした口調で尋ねてくる。
それはベルハルドも聞きたいことだったらしく、ヘッドフォンをつけたままアンリに視線を向けている。
なかなか都合のいい耳の持ち主のようだ。
そんな二人を、アンリはギロリと睨みつける。
「さっきから言っているし、ここにも書いてあるじゃないっ!」
そう言って、アンリは再び黒板を強く叩く。
その瞬間ルアンの肩が大きく揺れたが、アンリが気にするわけがなかった。
「あの教師の秘密を暴いて、この学校から追放する―――それが私たちの使命よっ!」
「そんなこと言われたって、こっちはその教師の顔すら知らないんだよ?」
「…………」
ルチアのその言葉に同意するように、ベルハルドも小さく頷く。
しかしそんな二人を、アンリは黒板を引っ掻いて黙らせる。
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