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「…………」
きっとあの音がまだ耳の中で響いているのであろう、ルアンはまるでロボットのような動きで振り返った。
「大丈夫か……?」
そのあまりの姿に、つい同情するような視線を向けるルチア。
しかしそんな視線だけでこの状態が治るわけがなく、ルアンは固まったままだ。
「まぁそんなことはいいとして―――これはどういうことなんだ?」
とりあえず自分に害がなければそれでいいのか、ルチアは構わず話を進める。
ちょっと酷いと感じられる所だが、ルアン自身はそれ程気にしていないようだ。
というよりも、気にする余裕がないというか―――
「新しい担任の先生と、ジュリーが―――その、ちょっと仲良くなりまして……」
「…………」
ルアンのその言葉に、今度はルチアが黙ってしまう。
ちなみに今のルアンの言葉はベルハルドの耳にも入っていたようで、本当に小さなため息をついていた。
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