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ようやく耳が正常に機能しだしたのか、ルアンはゆっくりと耳をさする。
そしてアンリを見つめながら、小さくため息をついた。
「―――やっぱり、お前の趣味がわからない。
なんでまた、アンリなんかを……」
「それ以上言ったら、トイレに閉じ込めて上から水をぶっかけますよ?」
「…………」
そのどこか哀愁漂う横顔を見ながらルチアが一人呟けば、いきなりルアンから地味に辛辣な言葉が返ってくる。
いつもより低いその声は、確実に実行する勢いだ。
そんなルアンに、さすがのルチアも素直に黙る。
するとまるでその瞬間を狙っていたかのように、教室の後ろから物凄い音が響いたのである。
そのあまりにもけたたましい音に、ヒートアップしていたアンリですら視線を向ける。
ジュリーは―――褒めたくなるほどの無関心さだ。
「えっと―――何事……?」
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