捜査開始

2/18
25243人が本棚に入れています
本棚に追加
/827ページ
ポカポカと、柔らかな陽射しが降り注ぐお昼時。 雫は白いシャツの袖をまくったまま、未だに慣れない我が家を出た。 「ちょっと、シズ。 どこに行くわけっ?」 「散歩。」 何故か掃除道具を片手に持つ愁に、雫は何とも端的に答える。 学校では仕事ということもありそれなりに喋っているが、家に帰るといつもこんな感じである。 「散歩って―――道わかるの?」 「…………」 愁のその言葉に、一瞬だが雫の動きが止まる。 しかし振り返ることなく、再び前に足を進めていた。 「とりあえず、散歩してくる。」 「我が家の掃除もせずに?」 「言っておきますけど、散らかしたのはあなた様じゃないですか。」 恨めしげに雫の背中に言う愁に、すかさずレイラがツッコミを入れる。 もちろんというのは何だが、レイラの手にも掃除道具が握られていた。 .
/827ページ

最初のコメントを投稿しよう!