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「雫様のお部屋は、いつも綺麗です。」
「―――掃除好きなので。」
腰に手を当て胸を張るレイラから、愁は勢いよく視線を外している。
雫には何も感じないが、どうやらレイラから愁に重いプレッシャーが放たれているようだ。
「私共がすると言うのに、雫様は率先して自らお掃除されます。
なのに、あなた様という人は……」
そう言って、レイラの眉間にしわが寄る。
あまり表情の変わらないレイラにしては、珍しい反応だった。
「あなた様がくると、いつも足の踏み場がなくなる―――これはどういうことでしょう?」
「あっ、あははぁ……」
「…………」
助けを求めるように愁がこちらに視線を向けてくるが、雫はそれを冷めた表情で受け止める。
何も言葉は発していないが、助ける気は毛頭ないということがありありとわかる表情だ。
「愁様、聞いているのですか?」
「うっ―――はい……」
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