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ルチアは、自分のことを『変わり者』と言う。
まるで卑下するように―――
そして、周りも彼のことを『変わり者』と呼ぶ。
「―――まぁいいけどね。
俺にとって、変わり者っていうのは称号みたいなもんだから。」
そう言って、ルチアは僕に小さく笑みを見せる。
しかしそれはいつもの悪戯っ子のようなものではなく、どこか諦めと憂いを含むものだった。
「ルチア……」
「おっ、ターゲットが動いたぞっ!」
何と声をかけたらいいのかわからず、僕は眉間にしわを寄せる。
するとそんな僕を気遣ってか、ルチアはいつもの軽い調子で前にいる先生を追っていく。
そんな背中に、僕も慌ててついていくと―――
「―――言っておくけど、お前たちも変わり者だからな。
俺みたいな奴と、普通に接することができるんだから……」
「…………」
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