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あまりにも小さい、ルチアの声。
しかし、僕にはしっかりと聞こえていた。
「―――僕たちは、変わり者じゃない。
『似た者同士』だよ。」
僕たちは、それぞれが深い闇と孤独を抱えている。
でも、今は独りじゃない―――
そんな思いをこめ、僕は笑って見せた。
昔はできなかった、心からの笑みを―――
「―――馬鹿が……」
「うん、ありがとう。」
ルチアのその悪態が、照れ隠しってことはわかっている。
僕はさらに笑みを深くしながら、ルチアの肩を叩いた。
「それ、皆で意思疎通1号だっけ?」
未だほうけているルチアを回復させるように、その手に握られている小さな箱を指差した。
「―――あっ、あぁ。
俺たちって、魔力を使ったテレパシーが使えないだろ?
でもこれを使えば、魔力がなくても会話ができるんだっ!」
そう言って、ルチアはその箱を高々と掲げる。
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