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特に意識はしていなかったが、どうしてもぶっきらぼうな声になってしまう。
「別に、譲ってやってもいいんだぞ?」
「無理―――使い方わからないから。」
ルチアのその言葉を早々に切り捨て、僕は足音をたてないように気をつけながら前に進む。
まぁ先生たちに足音で気付かれる心配はないと思うけど―――
「連絡ついたぞ。
この先の四つ角で、全員集合だ。」
いつの間にか他の人たちに連絡をつけたようで、ルチアは早口で僕に報告する。
「そっか―――じゃあ行こう。」
「へいへい。」
バクバクしている心臓の音がばれやしないかと内心焦りながらも、努めて普通に尾行する。
するとルチアもそれ以上その話を掘り下げることはせず、真剣に先生の背中を見つめていた。
「それにしても、あの人の後ろを歩く男―――誰だ?」
「さぁ―――学校の人じゃないよね……」
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