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「もうちょっと具体的に……」
「あら、ちゃんと尾行できてたのね。」
「っ?!」
ルチアの言葉にため息をつきながら言い返した瞬間、いるはずのない人物の声が響く。
慌てて背後を見遣ると―――
「アッ、アンリ?!」
「何よ、うるさいわね。」
何故か不機嫌そうに背後に立つアンリ。
その隣で、彼女に腕を掴まれている無表情のジュリー。
「ほら、その辺にいただろ?」
「―――そうですね……」
でもまさか背後にいるとは思わないだろう、普通―――
「エイトたちは?」
「すぐそこの路地裏にいるわ。」
固まる僕を無視して、アンリとルチアが情報交換をしている。
そんな光景が、たまに羨ましくなる。
僕は少しだけ二人(正確には三人)から距離をとり、小さくため息をついた。
「ちょっと、なに帰ろうとしてんのっ!
さっさと行くわよ。」
「あっ、はい……」
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