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「っ?!」
エイトの首筋に、ヒヤリと冷たいものが押し当てられる。
「ロイさん……」
「私の目の前で主人に手をあげようとするとは、いい度胸です。」
咎めるように声を上げるが、ロイの瞳は冷めたまま。
少しでもその手に力を入れれば、エイトの首筋を押し当てたナイフで掻き切ってしまいそうだ。
「ロイさん、下がってください。」
「しかし……」
襟元にあるエイトの手を掴みながら、俺は先程よりも強くロイに言う。
しかしロイはまだ納得していないようで、エイトを鋭い目付きで睨んでいる。
「あまり使いたくはありませんが、命令です。」
「…………」
そう言えば、使用人であるロイは下がるしかない。
渋々といった表情でエイトの首筋からナイフを離し、無言で俺の後ろに控える。
「さっきも言ったが、時間がない。
もし、学校にいたいなら……」
生徒たちに背中を向け、空を見上げる。
「明日、教室にこい。
タイムリミットは、朝のホームルーム終了のチャイムだ。」
そう言って、俺は家路へと一歩踏み出した。
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