その決意

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眩しい朝日が窓から差し込む中、雫はあまり座り心地のよくない事務用の椅子に座っていた。 この学校に勤め始めてそれなりに時間がたったこともあり、この研究室の荷物も増えている。 あれほどスカスカだった本棚も、授業に使う資料や参考書であふれかえっている。 「そろそろ時間か……」 壁にかけられた時計を一瞥し、ゆっくりと立ち上がる。 先程朝礼を終えて職員室からここに帰ってきたのに、また移動である。 「雫様。」 「ロイさんも行きますよ。」 学校内にも関わらず、いつも通り傍らに佇むロイ。 普通なら追い出す所だが、今回は雫が彼を呼んだのだ。 「すいませんが、校内ではこれをつけておいて下さい。」 「名札ですね。」 雫が渡したのは、首から下げる小さなネームプレート。 しかしそこにロイの名前は書いておらず、代わりに『魔法薬学科』とだけ書かれていた。 .
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