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「それでは行きましょう。」
学級日誌を忘れずに持ち、扉に手をかける。
もう少しで、朝のホームルームの開始を告げるチャイムが鳴る。
「雫様、そろそろ教えていただけませんか?」
相変わらず雫の背後に付き従いながらも、ロイはゆっくりと口を開く。
その口調には、珍しく困惑の色が含まれていた。
「そういえば、まだ言ってなかったですね。」
研究室の施錠をしながら、ふと思い出すように言う。
別に意地悪したつもりではなく、確実に忘れていた。
「ロイさんに、ちょっと手伝ってもらいたいんです。」
「手伝い、ですか……?」
軽い口調で言われたその言葉に、ロイの表情は依然怪訝なまま。
「具体的に、何をお手伝いすればよろしいのですか?」
主人の願いを叶えるのが従者の仕事。
例えどんな事であっても手伝う気だが、やはり詳細は知りたいものである。
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