初戦

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俺は先程から沸き上がり続ける怒りを抑えるように、腕を組んだままゆっくりと目を閉じる。 視覚から感じるものがなくなった分、生徒たちの雰囲気をさらによく感じることが出来た。 「ふざけんじゃねぇよっ!!」 鋭い怒声と共に、蹴られたパイプ椅子が派手な音を奏でる。 壊れていないか一瞬気になったほどの音だが、あえて無視しておこう。 物に当たりたくなる気持ちが、痛い程よくわかったから。 「ハッ、何が選抜大会だ。 結局、俺たち邪魔者をさっさと排除したいだけじゃねぇか。」 「エイト……」 鼻息の荒いエイトにルチアが声をかけるが、彼には取り付く島もない。 ただ燻る怒りをどうにかしたくて、ひたすら物に当たっていた。 「ちょっと、止めなさいよ。」 「うるせぇっ!」 「うるさいとは何よっ!」 「それがうるせぇんだよっ! だいたい、悔しくねぇのかよ。 どいつもこいつも、嘗めた真似しやがって……」 .
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