хⅨх~夏の思い出③~

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    鬼心は森で"あること"をした後、鬼妃のもとへと向かった。     鬼心はリミッターを60%まで外し、神経を集中し、鬼妃の気配を探った。     探り、鬼妃の気配がする方に行くと、鬼妃は珀奈達が泊まっているホテルの部屋の階の休憩所で、体育座りでうずくまっていた。   「鬼妃、ありがとな。」   「あ…にぃにぃ…」   いつもなら、すぐさま飛び付いてくるのに、今は何だか元気がない。   「どうかしたか?」   そう言って鬼心は寄り添うように鬼妃の隣に座った。   「あのね…にぃにぃ…今日、兄さんに会ったんだ。私は嬉しかったんだ。だけどね…兄さん私にいきなり攻撃して…言ったんだ。」   兄貴、鬼妃に攻撃したのかよ…   「兄さんがね『お前は弱い』って…私、まだ弱いのかな…にぃにぃに認めてもらう為に強くなったのに…まだ私は弱いのかな…」   そう鬼妃は弱々しく、鳴きそうな声で鬼心に言った…   鬼心はそっと鬼妃を抱き締めた…   「鬼妃…お前は弱くない。強いじゃないか。だから《四鬼神》にもなれたんだろ?確かに兄貴からしては弱いかもしれない。だけどな…鬼妃は強い、誇っていい。お前この《完全無欠》って言われている、この鬼神 鬼心から強いって言われたんだ。だからな、気にするな…お前は強い…」   そう言って、強く…優しく…抱き締めた…   「にぃ…」   鬼妃は頬を少し赤くしながら、鬼心の優しく温かいぬくもりに、身を任せた…    
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