хⅩⅤх~嵐の前の静けさ~

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    怜璃が部屋を出ると、雅心はソファーに座っていた。   その顔には、先ほどのような、やる気のない顔とは違い、何かを決意したような、真剣な面持ちだった。   「ど、どうしたのよ。改まっちゃって…私に謝りでもする気になった?」   怜璃はとりあえず冗談を言ってみた。   だが、雅心は怜璃の冗談など聞き流す。   「ちょっと話したいことがある。座ってくれ」   と、雅心は指示する。   怜璃は雅心の指示に従い、雅心に向き合う形で、ソファーに座った。     「で、話したいことって何よ」     「すまない」   雅心はそう言って、頭を下げた。     「え?な、何!?」   怜璃は戸惑っていて、何が何だか分からないでいる。     「昨日、俺がもっと早くお前が居なくなったのに気付けば、昨日のようなことにはならなかった。お前の護衛失格だ。約束を破ってすまない。」   雅心は再度頭を下げ、謝る。     「え?ちょ、ちょっと、昨日のことは、私がアンタに連絡しなかったから……自業自得なのよ。謝るのは私の方よ。自分勝手な行動をして、ごめんなさい…」   と、雅心をかばうようにして、怜璃も謝る。     「すまない…俺は、お前を"守れなかった"…俺は今日で、お前の護衛任務を辞める。代役は、鬼妃か鬼姫にでも任せる。」   そう言って、雅心は席を立ち、部屋を出ようとする…     「ちょっ待ちなさいよ!!」   怜璃はすぐに立ち上がり、雅心の服を掴んで引き止める。     「離せよ鳳月の小娘。俺はお前との約束を護れなかった……俺はお前の護衛任務から降りる」   雅心は怜璃のことを気にもとめず、部屋を出ようとする…     「待ってよ!待ちなさいよ!何でアンタが出ていかなきゃならないのよ!私が悪いのに、何でアンタが出ていくのよ!」   と、怜璃は必死で雅心を止める。     「お前に悪い所は無い。守れなかった俺のミスだ。すまない…」   そう言って雅心は行こうとする…     「ちょっと待ちなさいよ!!本当にすまないと思ってるなら、私の話しを聞きなさいよ!」   怜璃の懇願により、雅心は歩くのを止め、怜璃の方を向く…     「何だよ…」     「今回のことはアンタは悪くないのよ……全部私が悪いの……アンタが今回のことで本当に責任を感じているんだったら……最後まで私を守りなさいよ!守り通しなさいよ!……守りなさいよ…」    
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