хⅩⅦх~闘い X 戦い~

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           ◇     場所と時は戻って、そこには鬼心と虎纖の二人がいた。     「じゃあ、始めますか」   「あぁ……そうしよう餓鬼」       ゴボンッ――       虎纖は、返答した瞬間に、虎纖の"両腕"に虎柄の模様が現れ、顔にも虎柄の模様が現れた。     そして、虎纖の金氣が溢れ出す。     その金氣の量は生半可な量ではない。   明らかに、"多すぎ"ている。   その量は、圧倒的に大量の金氣を持っていた虎堅の倍以上はある。     単純に、強さは金氣の量で決まる。   金氣は最強の盾であり、最強の矛であるのだ。     「やっぱりアンタは強いな。"この"俺より強い奴みたの"三人目"だぜ」   そう言う鬼心は、ただ単に瞳が緋色に染まっているだけだ。   「餓鬼、なめているのか?何故、臨界者にならない。それに三人目だと?餓鬼の親が一人目と二人目か?」   「いや。二人目は言えないが、一人目は兄貴だよ。それに、俺達の親達は弱すぎる。"アイツ等の全盛期"の時に、当時"五歳にもなっていない"兄貴にも"負け"、俺に"負け"、妹達に"負"け、弟に"負けた"んだからな。俺達は生まれながらの、異例であり、例外であり、異端の強者なんだ。そんな俺に強いと言われたんだ。誇りに思っていいぜ?」   そう……鬼心達兄弟は、生まれながらの強者だ。   鬼神に生まれた者は、物心ついたと同時に、親から殺しの技術を学ぶ。     だが、鬼心達兄弟の誰一人として、親から殺しの技術を教わっていない。     否、教わる必要がなかった。     一番最初の異例は皇鬼だった。   当時、厳密にいえば四歳の誕生日の日に、初めてした修行で、初めてした組み手で、自分の実の"母親"を再起不能にした。     そして、それ以降は、皇鬼は我流で修行し、他は頭領である父親が、修行に付き合ったのだが、再起不能にはならなかったものの、鬼心、鬼妃、鬼姫、鬼羅、舞鬼、由鬼は、初めての組み手で、父親を負かした。     それ以来、親達は鬼心達兄弟を畏怖し、関わりを持たなくなったのだ。     「ふん。生まれながらの強者か。だが、そんな餓鬼より我は強いのだろ?その状態で勝てるとでも、思っているのか?」    
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