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「いや。勝てないよ。"今の"俺には。だが、アンタは知ってんだろ?俺の"正体"」
「あぁ知っている。だが、その"能力"を持ってしても、我には勝てない」
「アンタそんなごうごしてるけど、大丈夫か?身体」
鬼心はポケットに手を入れながら、笑みを浮かべながら、虎纖に言う。
「?何を言っている。我の身体は万全だ」
と、虎纖は笑って返す。
「確かに、"まだ"そのようだな。じゃあアンタに、もう"一つの俺"を見せてやるよ」
そう言った鬼心は、ゆっくりと目をつむり、上を向いた――
そして、鬼心の白銀の髪が、根元から、金色に、黄金ではなく、鮮やかな、艶のある、美しい金髪に染まった――
髪が変わると、鬼心は上げていた顔を戻し、正面を向く。
そして、鬼心はゆっくりと瞳を開けた――
「餓鬼……それが本当の姿か……」
瞳を開けた鬼心の瞳は、髪と同じ色の、鮮やかな美しい金色に染まっていた。
それを見た虎纖は、じっと、真剣な表情で鬼心を見つめる。
いや、むしろ緊張している。
そして、虎纖は息を呑む……
「あぁ。今となっては、これが本当の、"本来の姿"かな。じゃあな、金虎一族最後の王よ……」
バタン――
虎纖が倒れた。
別の姿となって。
少女の姿ではなく、"老婆"の姿となって……
「残念だったな。中国最強の王よ……。流石のアンタでも、"世界最強の一族にして血族"には勝てなかったようだな」
そう言って、鬼心は老婆となった虎纖の死体に近付き、"沈めた"……
「安らかに眠ってくれよ?」
数分後、《四鬼神》は誰一人傷を負うことなく、青木ヶ原樹海を去った……
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