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「質問を変えよう。お前は、アイツのことが好きか?」
「……私は、確かにあの人は、私の初恋の人だけど、今でも好きかって言われたら……好き、かもしれない。だけど、今はもう一度あの人に会って、お礼を言いたいだけ。初恋は、思い出として残しておくわ」
目を細めるようにして、優しく微笑み、レモンティーを飲んだ。
「その判断は正しいよ。その恋は、実らない恋だからな。お前"も"……本当の恋を見つけろよ……」
そう言って、鬼心は結局ココアを飲まずに行ってしまった。
「実らない恋って……どうゆうこと?それにお前"も"って……」
怜璃は疑問が残るなか、その後寝室へと戻って行った……
◇
朝、朝食を食べ終えた鬼心、皇鬼を除いた鬼神兄弟と怜璃は、現在今夜の珀王家主催のパーティーに行くための、ドレスを買いに行くための準備をしている。
「にぃ…も…行こう…よ」
準備をする鬼妃が、パーティーに行かない鬼心に言う。
「ごめんな鬼妃。"今回も用がある"から、俺も兄貴も無理なんだ」
本当に……今日、"この日"だけは、無理なんだ。
「用…って…何?」
「う~ん。強いて言えば、ダブル"デート"かな?俺と兄貴と"女"二人で」
ピクッ――
鬼心の、デートと女という単語に、鬼妃、鬼姫、舞鬼、由鬼、魅鈴、怜璃が反応する。
「「「「「「女って誰!!」」」」」
女達全員の心が一つになる。
「一人は言えないが、もう一人は蛇神家の次期頭首だよ」
その言葉に、全員が思い当たる。
鬼心が、夏のパーティーで"蛇神の女"と仲良くしていたことに――
「あの"泥棒猫"とどうゆう関係なの?にぃ」
あの鬼妃が、途切れ途切れではなく、鬼心と二人きりの時のように、はっきりと言った。
ドスの効いた声で……
この鬼妃の言葉に、鬼心、皇鬼意外は驚いたが、今は鬼心に注目する。
「泥棒"猫"ね……ふふ。確かにアイツは"猫"だが、虹は"蛇"だぜ?まぁ強いて言うなら、アイツの言葉を借りれば『友達以上ぎりぎり恋人な関係』だよ。じゃあな。あ、忘れてた。鳳月これ、誕生日プレゼントな?」
そう言って、鬼心はポケットから何かを取り出し、怜璃に投げ渡し、鬼心は消えた。
鬼心が消えると同時に、皇鬼も消えていた――
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