19870人が本棚に入れています
本棚に追加
/432ページ
雅心は今、一軒の古風でとても大きな日本屋敷の門前にいる。
戦前に建てられたこの屋敷は、とても頑丈な作りで、そして広い敷地を囲む高い塀、そして立派な門が構えていた。
門に立て掛けられている板には――
《鬼神家(オニノカミケ)》
そう書かれていた。
雅心が門を押し開き、中へ入る。
石畳を歩いて奥の母屋に進み、玄関の両脇にいる、スーツ姿に黒のサングラスのいかにも、ヤクザといった格好をした男に目をやった。
「そこの餓鬼何してる!勝手に人の家に入るな!」
そう男は、雅心に怒りの形相で雅心を怒鳴った。
「あんだと」
雅心は殺気を放ちながら、怒鳴った男を睨んだ。
「こ、ここは鬼神家の土地だぞ!!鬼神家の者以外は立ち入り禁止だ!!門に立て掛けられた板が見えなかったのか!!」
男は雅心が放った殺気に驚きながらも言った。
「俺は鬼神家の者なのだが」
殺気を込めた低い声で言った。
「お前のような餓鬼は鬼神家には居ない!!」
「何を言ってる?ちゃんと良く俺の顔を見ろ」
「何度見ても同じだ!!お前のような餓鬼は鬼神家には居ない!!いい加減にしないと殺すぞ!!」
「何んだと!?もう一度この顔をよく……」
男の態度に怒りが爆発しそうだったが、ようやく気付いた"今"の自分の顔に……
「あぁすまない。こんな顔じゃ分かるはずが無いな。今から顔を"戻す"」
そう言うと、雅心は自分の顔に手を当てた。
すると、雅心の顔はゴキゴキと音をたてて顔が変化し、髪の色が黒から銀色に変わり、美しいもしくは、格好いい顔になった。そして身長も170センチから180センチ弱くらいになった。
最初のコメントを投稿しよう!