第1章 花嫁の訪問

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そう言う訳で意外にもフロアが大活躍な一日だったのだ。 しみじみと情けないと物思いにふけっていたトゥースの背中が不意に捲れる。 「ん?」 だるい頭を横に向けて見るとフロアがトゥースの服を背後から脱がせにかかっていた。とっさにトゥースは両手で押さえる。 「何を…!?」 「洗いますので脱いで下さい。破れた所も縫いますわ」 「ちょっと待て!」 脱がせようとするフロアと脱がせまいとするトゥースの攻防が続く。 「分かった。共同入浴場へ行こう」 温泉も豊富なにフェラリル国は何ヶ所も共同入浴場がある。少しでも金に余裕がある者達は共同入浴場へ入りに行くのだが、貴族など一部の者は個人で所有している。 仮にも女の前で脱げないトゥースの提案にフロアは喜んで従った。 家に戻ってくると早速フロアは服を縫い繕う。 「初めて大勢の人と一緒に入りましたわ」 頬を赤らめ幸せそうに微笑むフロアを見てトゥースも釣られて微笑んでしまう。花園への確認の連絡を忘れ、あの黒いニンフの事もある。どうやらあのニンフと知り合いのようだがフロアは話さない。
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