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「あのさ、あのニンフとどういう知り合い?」
フロアが体を緊張させ強ばらせたのが見て分かる。
「彼女も私と同じ桜の木の精霊でしたわ。雪桜と呼ばれる通り、真っ白な桜を咲かせていましたが、欲深い人が雪桜を斬ってしまったんです。精霊になりきる前に斬られ、憎しみと怒りが形をなし産み出された彼女はルキオラと名乗りましたわ」
長い年月の間、何度も復讐しょうと人間と争っていたとフロアは寂しそうに言う。
「彼女の事が好きなんだ?」
「えぇ。姉妹のように育ち、フェラリル国を見守ってましたわ」
フロアはトゥースを見る。
「でも、ルキオラがトゥース様に手を出すのなら手加減なしで相手しますわ」
笑顔のフロアを見て意外な一面を見たトゥースの顔が引きつる。
「何で俺のためにそこまで…」
「だって私はトゥース様の未来の妻ですもの」
満面の輝くような笑顔がトゥースに向けられた。そこで朝のやり取りを思い出すとトゥースは慌てて聞き返す。
「勿論ですわ」
「いや、だって、ほら家に帰らないと…」
「もう夜ですわ。物騒ですし、私のことは気にせずに。遠慮はいりません。お側に置いて下さいませ」
強いだろと言う言葉を飲み込む。言ったら怒りそうだ。
「よ、よろしく」
「はい」
自称花嫁が今日から家に住みついた。
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