哀悼

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長年の金髪を黒髪に戻したのは、ようやくあんたに向き合う気になったから。 頭では理解できていた。あんたが死んだなんてことガキじゃねーんだから分かってた。 ただ認めたくなかっただけ。 現実は辛いって言ったのはあんたじゃないか。 だけど急に、あんたと正面から向かい合いたくなった。 あたしの見ているあんたがあんたじゃない気がしてたから。 自分の都合のいいあんたを造り出しているように思えたから、髪を染めた。 哀悼の黒。 それは重く現実を突きつけたけど。 あんたの墓前に立っても泣けやしない。 変な泣き笑いでごめん。 だけど、遅くなったけど、やっと会いに来たよ。
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