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結局その日は家に帰る事が出来なかった。
駅で喧嘩になる事も避けたかったしきっと言っても帰してもらえないと思った。
でもママムの事がとても心配になった。
うちの近所は『○ちゃんが北高に入ったのよ‼』とか『どこの塾に行ってる⁉』とか親の探りあいのような場所。
きっと私は外見も派手にやってたから色んな影口を叩かれていたと思う。
そんな事よりも普通娘が突然失踪したら心配だよね。
そう思うと申し訳ない気持ちに襲われた。
3日後・・夜中私は勝にもう一度伝えた。
『一回家に帰ってママムの様子見てきたいの。心配かけてるから・・』
『何言ってるの⁉お前の事なんて心配してねぇよ‼普通娘が家出してるなら警察に連絡するだろうよ‼してねぇじゃん‼』
確かにもっともな意見だよ。
でも心配してなくても家に帰りたかった。
『一回だけ・・お願いします。』
『しつけぇんだよ‼』
そう言って勝はいきなり灰皿を投げてきた。
私の髪の毛をひっぱり『お前約束覚えてるのかよ⁉言ったよな⁉』と床に引きずり回された。
これ・・お父さんと一緒じゃん。
『やめてよ・・ごめっ・・言うこと聞くから』とワンワン泣いた。
怖くて泣いたんじゃない。もう情けなかった。
子供みたく泣く私に勝は急に優しくなる。
『大丈夫だから・・』ってね。
よくDVの男から離れられないというのはこの嘘の優しさからくるもの・・
そして時折弱さを見せるからほっとけなくなってしまうんだよね。
それから勝はDV男に変貌していったんだ。
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