出逢い

2/2
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「お仕事の帰りですか?」 「ええ、そうなんです」 「そうですか。早く来ていただけて良かった。友姫ちゃん、綺椰さんが来られるのをとても楽しみに待ってたんですよ」 「ねー!」 そう言って、友姫ちゃんと瑛先生は顔を見合わせてにっこりと笑う。 「それを聞いてほっとしました。実は久しぶりに会うので、覚えててくれてるか心配だったんですよ」 私がそう言い、少し苦笑いをすると、 「…大丈夫ですよ。綺椰さんの事は、久しぶりに会っても直ぐにわかりますよ」 瑛先生はそう言って、微笑んだ。 「…?ありがとうございます?」 何か不思議なものを感じたが、然程気にとめることはしなかった。 「綺椰さんは、明日も友姫ちゃんを迎えに来られるんですよね?」 「あ、えぇ、暫くは母が送りで私が迎えに来る事になると思います」 「わかりました。では暫くの間、よろしくお願いします」 「あ、はい、こちらこそ」 丁寧に頭を下げられ、つられて私も頭を下げる。 「じゃぁ友姫ちゃん、帰ろっか」 「うん!あきらせんせい、またね!」 「はい、友姫ちゃん、また明日ね。綺椰さんも、お気を付けて」 瑛先生に手を振り、私達は車に乗った。 「さー、お家に帰ろう。おばあちゃんがご飯作って待ってるからね。今日のメニューはなんだろね?」 「なんだろねっ♪」 友姫ちゃんを送るついでに、私も夕御飯を食べて帰る事になっている。 最初は断ったのだが、電話での母の強引さに、折れざるをえなかった。 実家に帰るのは久しぶりだ。たまに電話で連絡はとってはいるものの、家に帰ってはいない。 久しぶりに帰る事で、何か変わっているだろうか。それとも、相変わらず、いつもの日常が流れているのだろうか。 ―――あれから、私は何かが変わったのだろうか。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!