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「お仕事の帰りですか?」
「ええ、そうなんです」
「そうですか。早く来ていただけて良かった。友姫ちゃん、綺椰さんが来られるのをとても楽しみに待ってたんですよ」
「ねー!」
そう言って、友姫ちゃんと瑛先生は顔を見合わせてにっこりと笑う。
「それを聞いてほっとしました。実は久しぶりに会うので、覚えててくれてるか心配だったんですよ」
私がそう言い、少し苦笑いをすると、
「…大丈夫ですよ。綺椰さんの事は、久しぶりに会っても直ぐにわかりますよ」
瑛先生はそう言って、微笑んだ。
「…?ありがとうございます?」
何か不思議なものを感じたが、然程気にとめることはしなかった。
「綺椰さんは、明日も友姫ちゃんを迎えに来られるんですよね?」
「あ、えぇ、暫くは母が送りで私が迎えに来る事になると思います」
「わかりました。では暫くの間、よろしくお願いします」
「あ、はい、こちらこそ」
丁寧に頭を下げられ、つられて私も頭を下げる。
「じゃぁ友姫ちゃん、帰ろっか」
「うん!あきらせんせい、またね!」
「はい、友姫ちゃん、また明日ね。綺椰さんも、お気を付けて」
瑛先生に手を振り、私達は車に乗った。
「さー、お家に帰ろう。おばあちゃんがご飯作って待ってるからね。今日のメニューはなんだろね?」
「なんだろねっ♪」
友姫ちゃんを送るついでに、私も夕御飯を食べて帰る事になっている。
最初は断ったのだが、電話での母の強引さに、折れざるをえなかった。
実家に帰るのは久しぶりだ。たまに電話で連絡はとってはいるものの、家に帰ってはいない。
久しぶりに帰る事で、何か変わっているだろうか。それとも、相変わらず、いつもの日常が流れているのだろうか。
―――あれから、私は何かが変わったのだろうか。
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