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真っ暗な一本道を私は走る。   道の至る所から無数の手…      黒くて伸びるその手は、 私を崖へ落とそうとしたり、 何処かに連れていこうとする。     私は必死に手から逃げるように、真っ直ぐ真っ直ぐ走る。     出口はどこ?     私は走る…     出口はどこ?     微かな光と共に私の体がフワリと浮いた。       大きな手に包み込まれた私。     真っ暗だった道が、お花畑になった。     私を落とそうとしていた手は、私と遊びたがっていたウサギだった。   私を連れていこうとしていた手は、私をキレイな花へと導く蝶だった。     真っ暗だったせいで… 見えていなかったんだ…。   そして、私を光のある世界に戻してくれた大きな手。     大きな手は 貴方だったんだね。  
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