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「それで?どんな依頼だったんです?」
「内容までは見てないそうです。って言うかロックされててそこまでは見れなかったんだとか。」
「あ―――……」
そういえばそうだった。
勝手に中を覗かれ無いようにフォルダ等にはロックを掛けていたんだった。
流石に爺も私が居る間は部屋まで入って来ないから、ロックナンバーは分からなかったのだろう。
それでもやっぱり、多少注意した方がいいのは変わらないけど。
「まあ、内容は明日見るとしましょう。それより――」
私は誠君を見つめる。
「何ですか?」
誠君はそんな私を不思議そうに見つめていた。
今、誠君の頬に触れたら、誠君は何と言うのだろう?
この気持ちを打ち明けたら、彼はどう答えるのだろう?
本当は、彼が自分の生きる意味を見つけられたのかを聞こうと思ったのに、私の思考はそんな事ばかり考える。
前も言った事だけど、誠君は本来、私に悩みを相談(かなり強引にさせた)して来た依頼人なのだ。
そして彼の悩みは、自分の生きる意味を見つけられない事だった。
だから私は、定期的にその悩みを解決する為に、その事について彼と話さなければならない。
それなのに、最近の私はその話しをするのを躊躇っていた。
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