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◆ ◆
「今日も、雨なんですね。」
もう、8月に入ろうとしているのに、最近は雨が降り続いてばかりいる……
「これじゃあ蒸し暑くて仕方ありません。」
あまりにも蒸し暑く、私は胸元を開けるようにシャツを引っ張り、団扇でその隙間に風を入れる。
少々生温いが、それでもそれなりに涼しい風が私の身体を冷ます。
「はぁ―――……どうせならカラッとして欲しいものです。ねえ?誠君。」
私の前には、顔を赤くして必死になって視線を逸らす少年が座って居る。
彼の名前は「真実誠」(しんじつまこと)。
私、「言括理希世無」(ことくくりきよむ)の依頼主であり同時に助手でもある。
「き、希世夢さん。あの、その……」
「何ですか?はっきり言って下さい。」
まあ、言わなくても何を気にしているかは知っているのだけれど……
何と無く、彼には意地悪をしたくなってしまう。
「もう少し恥じらいを持って下さい……!!」
そう言って顔を更に赤くし、彼は私に背を向ける。
そんな彼を見ていたら、自然と、笑みが零れた。
「ウブなんですね。」
最近、私は変わった。
「そんな事ではいつか困りますよ?」
初めて彼に会った時よりも確実に……
「ほっといて下さいよ……!」
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