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多分、誠君もそのことは薄々分かっているんでしょうね……
そして、それが外ならぬ私自信によって行われる事も……
怖い……
私は体を震わせながら、誠君に悟られ無いよう、しかし、強く自分の体を抱きしめた。
怖い……
彼の元を離れた時、取り戻した心を再び失うかもしれない事が……
何より、彼が、誠君が…私の隣から居なくなる事が、怖い……
誠君の隣から居なくなる事が、誠君の中から私が居なくなる事が、怖い……
私は「また」、一人になるのが怖い……
ああ…そうか、私は――
「希世夢さん?」
そこまで考えた時、私を呼ぶ彼の声に気付き、顔を上げる。
「………何ですか?」
私は、震えていた事を気取られないよう、いつも通りに振る舞う。
「ここ、教えてもらえませんか?」
それは数学の問題で、つい最近教えたばかりのものだった。
よかった……
震えてたの、ばれて無いみたい。
「此処はこの間教えたでしょう?ほら、このXにこの数字を代入して……」
「ああ!そっかそっか!有り難うございます。」
「誠君は理解力はあるのに記憶力がいま一つですね。」
「うぐ……そんなハッキリ言わないで下さいよ……」
「苦手な事はちゃんと克服すべきです。」
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