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そして私は、他の誰よりも強い異能を持っていた。
歴代の頭首の中でも、私と張り合えるのは初代くらいだろうと言われる程に……
本当なら、喜ぶべきなのかもしれない。
何せ、私の家――言括理家は、裏の世界を実質的に支配してしまう程強大な力を持っているのだから。
けど私は、普通の家に生まれたかった。
普通の家に生まれて、普通の女の子として暮らしたかった。
だって言括理家には、自由なんて無かったから。
言括理の人間は、決して表の世界では生きられない。
それは抗えない呪い。
初代言括理家頭首によって掛けられた、未来永劫解ける事なき、呪い。
だからこの小説だって、数少ない外出の最中にたまたま見付けたのを持ち帰った物だ。
次期頭首には、娯楽が許され無い。
だから、小説や漫画なんて買い与えて貰えない。
頭首に必要なのは人を統べる術だとずっと教えられ続けた。
でもそれだったら尚の事、人の心情を考えたりする能力を鍛える為にも小説や漫画は読んでおくべきだと思う。
これは恋愛小説で発行部数も少ないみたいだけど、それでも私にとってはこの主人公やヒロイン達の感情や思考はとても新鮮だ。
言括理は――と言うか、裏の世界では恋愛はほとんど許されていない。
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