骸骨の瞼 二

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   ある春の夜、骸骨は病院に入った。  誰もいなく、明かりのない廊下を静かに歩く。好きな歌も、今は歌っていけない。  彼はとある部屋に入ると、一つ置いてあるベッドに近付いた。  そこには、体に布団を、顔面に布切れを被せられた人間がいた。  彼はグンと左手を伸ばし、バッと強く布を剥ぐと、その少女の目玉を取った。  彼は、片手に二つの目を持ち、病院を出る。古びた建物に背を向け、山を登り始めた。  骸骨は、少女の目を自分の目の窪みへ入れた。すると、突然暗くなる。  黒目が、裏側へ向いていたのだ。  しかし、彼は眼球を直さずに、そのまま立ち尽くした。
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