1st Songs

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オープンカーで海岸沿いを走ると 潮風が頭を撫でる。 「今日は気持ちいいくらい晴れたなー」 両手を伸ばし 頭上で組むと背伸びを したラルトは気持ちよさそうに言った。 「そうだね」 車を走らせること数分。 緑に囲まれた道を 通り抜け大きな屋敷の前へとたどり着いた。 「空軍アリスト部隊所属のラルト・トリスと友人のセツ・アルファイタだ。姫に謁見を申し込みたい」 「かしこまりました。少々お待ちください」 門番は無線で話すと 「どうぞ」と 門を開ける。 中は整えられた庭と 中心には大きな噴水がある屋敷だ。 車道を走り、屋敷の扉の前で停めると 屋敷の扉が開き 中からメイドが出てきた。 「いらっしゃいませ。アルファイタ様、トリス様」 「アリアはいますか?」 「はい。アリア様でしたら、お部屋にて読書をなさっていらっしゃいますよ」 「ありがとうございます」 二人はアリアと幼なじみのため メイドたちもよく知っているのだ。 コンコン。 扉を叩く音が 静かな廊下に響く。 「はい、どなたですか?」 ガチャと扉が開くと 中からアリアが チラリと顔を出す。 「久しぶり」 「あら、セツではないですか」 アリアは笑顔で セツのもとへと近寄る。 「いやー…俺も居るんだけどね」 「あら、ラルトもお久しぶりですね。お元気でしたの?」 「あぁ、どっかのお偉い様方にこき使われているよ」 「あら、大変そうですわね。さぁ、お部屋で楽しいお話をもっと聞かせてくださいな」 アリアは扉を大きく開け 部屋に入るように言うと いつものように セツやラルトは入って行く。 久々に揃った03人は 長時間にわたって 日頃の話をしていた。 そればいつもの定番で 紅茶にスコーン そして庭園の見渡せる テラスで楽しい時間を過ごすのだ。 「あ、アリア。俺、時間だ」 ラルトはチラッと腕時計を見るとアリアに言った。 「何かありますの?」 「ちょっとな。んじゃ、俺はここで失礼するかな」 「また、ご一緒しましょうね」 「あぁ」 部屋を出ようとしたラルトに アリアは微笑みながら言う。 しかし、振り返り返事をしたラルトの顔は 微笑んではいたが どこか悲しげな様子にも セツには見えた。 「ラルト?」 「それじゃ…な?」 セツの声をよそに ラルトはガシャンと扉を閉めた。
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