1st Songs

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ラルトが部屋を出ていって 1時間が経とうとしていた頃。 急に屋敷内の警報が鳴り響いた。 「警報!?」 セツは驚き、椅子から立ち上がるとテラスの端から 辺りを見渡す。 だが、外に変わりはない。 「何事ですの??」 「大丈夫、落ち着いて。とりあえず部屋に入ろう。僕は廊下を見てくるから、部屋から動かないで」 「解ったわ」 セツはそっと部屋の扉を開けると 少し顔だけを出し 様子を伺う。 バキューン 遠くから銃声が聞こえたのに気づき すぐに部屋へと戻る。 「逃げよう…」 「え、どういうことですの!?」 「いいから、早く!!」 セツはアリアの手を引き 扉から廊下の様子を 確認した後、部屋を出て 無我夢中で走った。 「セツ…」 「なに?」 何かを思い詰めたかのようにアリアは足を止める。 「この屋敷に賊がいるのですね?」 「うん…。まだどんなやつかは解らないから今は逃げないと」 「…こっちに来て」 アリアは銃声のよく聞こえるほうへと走っていく。 「そっちは危ないから」 「でも、あれだけは…」 「え…?どういうこと?」 アリアは一度も足を止める事なく走りつづける。 「姫を見つけたぞ!!」 遠方で複数の足音と声 そして銃声が鳴り響く。 セツの心臓は恐怖と極度の緊張で高鳴っている。 「着いたわ…」 二人が息を切らし 着いたのは戦闘機の格納庫だ。 「格納庫?どうしてここに…?」 辺りを見渡すと そこには複数の 戦闘機が並べられていた。 「危ない!!」 アリアは近くで光った銃口に気づき、セツを咄嗟に庇った。 「アリア!!」 倒れたアリアに近付くと アリア腕から血を流していた。 「大丈夫か、アリア、セツ」 「ラルト!!」 辺りに銃を向けながら ラルトが駆け付ける。 「こっちだ!!」 ラルトはアリアを支え 物影へと向かい歩く。 「アリア、教えてくれ。開発中のX-278はどれだかわかるか?」 アリアは薄れゆく意識のなか ある方向を指す。 「あの二つ目がそれのはずよ」 アリアの言葉を聞いたラルトの 口元が少し笑ったのに 気付いたセツは 近くに落ちていた銃を広いラルトに向けた。 「セツ…?」 アリアは俯いていた顔を上げるとセツに言う。 「待てよラルト。君は初めからここの襲撃をしっていた。そして、X-278の略奪も君の役名だったんだね」 セツは睨みながら ラルトに銃口を向ける。
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