1st Songs

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「これ、どうやるの?」 「私、知ってるわ。やり方を言うからそのとおりにして…」 「わかった」 アリアの説明とおり 設定をしていくと 戦闘機はエンジン音を掻き立て 開け放たれたタッチから 外へと飛び立つ。 「これは…」 「嘘…」 窓から見える景色は 息を飲むほど 悲惨な光景。 黒い煙と赤い炎に巻かれた街には 多くの人々が嘆き 苦しんでいる。 「見えたわ。あれがラルトの乗っている機体よ」 「あれが…」 大空に恐れはなく まるで空気を操るかのようにラルトは空を舞う。 セツはラルトの乗る機体へと 回線を繋いだ。 「ラルト聞こえるか!?お願いだ、止まってほしい!!僕は君と争いたくはないんだ!!」 必死に訴えるセツの言葉に ラルトからの返答はない。 「ラルト…お願いだから…」 力を振り絞り セツは今にも消えてしまいそうな声で言った。 「…だからお前はいつまでも甘いんだ」 「ラルト…?」 微かに通信スピーカーから 聞こえたラルトの言葉は しっかりとセツの耳に 届いた。 その瞬間、ラルトの機体が 半回転し、スルリとセツたちの機体の上をすり抜けていく。 「ラルト…。どうして…。どうして、君が…」 ただ呆然と現状を見ることしかできないセツは 操縦ハンドルを握りしめながら嘆くことしかできない。
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