2章 離れていく距離

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「んで、昨日は誰のことを考えていたんだ?」 卓人がにやにやしながら聞いてくる。 「別に誰のことも考えてねーよ。 病気だよ、病気。なんか熱っぽかったんだ」 あまり知られたくなかったので、適当にあしらった。 「ほぉ~、病気ね~。 恋の病って……ブゴァッ!」 ん?今の声は……………気にしないでおこう。 それにしても久しぶりの1人登校は寂しいもんだな。 ………………1人? ああ、卓人ならその辺に転がっているよ。 登校中は卓人に邪魔をされたせいで綾と話せなかった。 教室に着いたら綾と話すぞ、と気合いが入った。 結局………………話せませんでした。 いや、その、意気地なしとか臆病者とかヘタレとかじゃなくて、休み時間になるたびに卓人はやってくるし、綾は女の子には人気があるしで話せる機会がなかったと言うわけです。 あと、これは余談だが井上友里にファンクラブができたみたいです。
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