2章 離れていく距離

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俺にとってこういう思いは初めてだった。 ただ、仲のいい女の子と数日間あまり話せなかったことで、ここまで辛いなんて。 それほど俺の中で、綾の存在は大きくなっていたのだ。 「はは~ん、真琴は鈴木さんがタイプか」 ふいに後ろから声がかかった。 驚いて振り替えると、またしてもにやにやと笑っている卓人がいた。 やっぱり卓人にはこういう秘密は通じない。 中学校の頃、卓人はクラスのほとんどの人の好きな人を知っていた。 それも、全部自分で調べてだ。 「…………何で分かった?」 「ハハハっ、お前ほど分かりやすいやつもそうはいねーよ。 さすがにジーっと鈴木さんの事を見ていたら、誰でも分かるっての」 気付かないうちにそんなに見つめていたのか。 ………ってかタイプ? 卓人は好きな人に関して、あてるのは百発百中だ。 ってことは、俺は卓人からしてみればそういう目で綾を見ていたことになる。 「俺もよくわかんねーんだよ」
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