2章 離れていく距離

7/17
前へ
/334ページ
次へ
「なんでがっかりしてんだ?」 「だって………今の状態って言っても………綾は人気があるから、俺みたいなのの相手はできないよ」 正直に心の中の言葉を全て吐き出した。 「違う、違う。 俺の言ってる今の状態ってのは、お前の気持ちだよ。」 「へ?」 あっと………意外な言葉だったので、思わずマヌケな声が……。 「だ・か・ら、お前が鈴木さんのことをどう思ってるかはっきりしなかったら、こっちもどうしようもないの!」 「いや、だから分からないから相談を………」 「お前な、俺にお前の気持ちが分かるとでも思ってるのか? ………まあ、いい。 お前の気持ちがはっきりしたら、俺に言ってこい。 何でも相談に乗ってやるからさ」 そう言うと卓人は教室を出ていった。 今まで余計なことしかしてこなかったが、アイツはやっぱりいいやつだったと心の中で思った。
/334ページ

最初のコメントを投稿しよう!

977人が本棚に入れています
本棚に追加