2章 離れていく距離

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「真琴、こっちに来いよ」 教室に戻ると弁当組の卓人が呼んできた。 「今日さ、放課後サッカー部見に行こうぜ。 サッカー部に入るんだろ?」 そういえば、今まで部活の事なんて考えたこともなかった。 「ああ、そうだな」 答えながらチラッと綾の方を見てみる。 後ろの方で女子4人でグループを作り弁当を食べていたが、周りにはやはり男子の姿がなかった。 「ここのサッカー部強いんだぜ」 卓人は軽く笑いながら言ってきた。 多分、俺から言うまで卓人は綾について触れないのだろう。 心の中で感謝しながら答えた。 「はあ?そんなの当たり前に知ってるよ。 ってかこの高校にしたのそれが目的だし。」 プロフィールに書いたとおり、俺はそこそこ勉強はできる。 その俺が勉強が苦手な卓人と同じ高校にいるのは、サッカーをするために高校のレベルを下げたからだ。
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