2章 離れていく距離

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「ハァ、ハァ、ハァ」 あれから30分くらい過ぎた。 試合は1―0のままだが、俺達は3年生のスピードについていくのでいっぱいで、かなりバテていた。 卓人がパスカットし、こっちに走ってくる。 かなり疲れているので、顔に余裕は見られないが、物凄い速さだ。 「卓人っ!」 俺がそう言うと、卓人はロングパスをうってきた。 寸分の狂いもない正確なパスだ。 それをバウンドしないうちに蹴りあげ、シュートを放った。 格好は上段回し蹴りみたいなポーズだろう。 そのボールはゴールの方へ飛んでいき網によって受けとめられた。 「ボレーシュート…………」 先輩達は口をぽかんと開けている。 状況で分かるだろうがボレーシュートはかなり難しい技だ。 中学生の頃、卓人と毎日のように練習してたから、もうマスターしてしまったのだ。
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