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俺はそのアルバムをとっさに拾った。
そこには俺と涼音が手を繋いで公園を歩く写真、そして…
「………あらまぁ……」
俺と涼音が一緒にお風呂に入っている写真。
「も~!なんで見るの~!?」
涼音は涙目で俺を睨む。
「ふふっ…この頃は二人で風呂に入ってたんだな。
なんで今は一緒に入らないの?」
「うるさい!」
「なんなら今から一緒に入ろうか?」
「バカ!変態!!」
涼音は俺の頭をバンと叩いた。
「いってぇ…。
それにしてもさぁ、俺ら付き合ってるわけじゃん?なんで今は手も繋がないの?」
そう、実は俺達はここ数年手を繋いだことがない。
小学生の時はあったのだろうが、中学に入ってから手を繋いだ記憶はない。
キスなんかしたこともない。
できることならキスしたいが、とりあえずは手を繋ぎたいというのが俺の本音。
「だって…恥ずかしいもん」
「何だそれ。周りのカップルたちはフツーに繋いでんじゃん」
「今更つなぐのが恥ずかしいの!」
「なんじゃそりゃ。じゃあキスする?」
「うるさいうるさい!変態王子!」
涼音はフンと言ってそっぽを向いた。
どうやらスネてしまったらしい。
「あれれ涼音ちゃん、怒っちゃったの?」
「ふん」
「あ~ぁ、相手にしてくれないのかぁ。
じゃあ残りの写真は家で一人で見るかなぁ…」
「だめ~!!もうスネないからー!」
アルバムを取り返そうとする涼音。
それを阻止する俺。
この構図はその後もしばらく続いた。
ガキのような俺たちのやりとり。
しかしこの時はまだ俺たちの日常に邪魔者が襲いかかることを知る由もなかった。
もうすぐ夏休み。
そしてその43日間で、俺達のパラレルな関係は激変することになる。
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