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…ピピピピッ ピピピピッ…
朦朧とした意識の中鳴り響くデジタルタイマーの音。
今日から夏休みだろ…なんでタイマーなんか鳴らしてんだ俺…。
俺は目覚まし時計のスイッチを切ると、そのまま夢の世界へと戻っていった。
――…
ドンドンドン
「信也ー!!いつまで寝てるの!」
部屋の扉をたたく音。
いつも通りに叫ぶ母親。
「ん~…今日から夏休みだよ…」
「何言ってんの!
涼音ちゃんとおじさんが家の外で待ってるわよ!急ぎなさい!」
「は?……あ!!」
そうだ、今日から3日間涼音の伯父さんの牧場に行くんだ。
おっちゃん…確かに『夏休みになったらすぐにでも行こう』って言ってたけど、初日からとか張り切り過ぎでしょ…。
俺は蒲団から飛び出すと着替えと歯磨きだけ済まし、適当に2日分の服をバッグに詰め込んで家の外に出た。
「信也!遅~い!!」
「おはよう信也」
涼音は白い半そでTシャツに半ズボン、普段より薄めの化粧。
おっちゃんも白いポロシャツに半ズボン、麦わら帽子。
二人ともに爽やかな表情で俺を出迎えた。
俺は白いTシャツにジーパン。
ただし寝ぐせ付き。
まだ寝起きの目を擦り、二人に答える。
「おはよ~おっちゃん。うるさい涼音」
「なによ~寝坊したくせに!」
「ははっ。じゃあ行こうか」
いつもより少しだけ声が大きいおっちゃんを先頭に、俺達はバス停に向かって歩き始めた。
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