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窓を叩く6月の雨。
じっとりとした空気の中、ひたすらペンを動かしつづける二人。
俺達は1週間後に期末テストを控えている。
だから今日は放課後にコイツの家に寄り、二人で数学の勉強している。
「ふあぁ~…つまんねー…」
俺は高校に入学して以来、定期テストでは満点以外の結果を残したことがない。
未だに他の奴らが一問でも間違える訳が分からない。
かれこれ30分。
早くも勉強に飽きた俺は手を止め、隣で黙々と問題を解きつづける涼音を横目で見る。
下校のとき雨に濡れて少し透けた白いYシャツに、ピンクのブラジャーの輪郭がぼんやりと写る。
…ピンクか…。
俺的には水色の方が好みなんだけどな…。
「…ねぇ信也、ここ分かんないよー…」
…まぁコイツにはピンクの方が合うのかもな。
水色ってほど落ち着いたキャラじゃねぇし…。
「…信也?」
…どっちかってゆうとエロいのはピンクだしな…。
…っつーことはパンツもピンクなのか…ふふっ…。
「……」
ブスッ
「…ッッてーーー!!!?」
不意に右目に走る衝撃。
涼音が指で俺の目を弾いたのだ。
いわゆる目潰しっていうヤツだ。
「バカ!変態!
人のブラ見てニヤニヤしてんじゃないわよ!」
無駄に顔を赤くして叫ぶ涼音。
怒るときに少しだけ瞳を潤ませるのがコイツの特徴。
「っせーな…デカい声出すなって。
…んで、何か言った?」
「この問2の級数が…」
俺は再びペンを握り直し、スラスラと問題を解きはじめる。
涼音は黙って俺の説明を聞き、時折頷く。
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