第一章 ~死人の顔は安らかだった~

2/13
2224人が本棚に入れています
本棚に追加
/185ページ
窓を叩く6月の雨。 じっとりとした空気の中、ひたすらペンを動かしつづける二人。 俺達は1週間後に期末テストを控えている。 だから今日は放課後にコイツの家に寄り、二人で数学の勉強している。 「ふあぁ~…つまんねー…」 俺は高校に入学して以来、定期テストでは満点以外の結果を残したことがない。 未だに他の奴らが一問でも間違える訳が分からない。 かれこれ30分。 早くも勉強に飽きた俺は手を止め、隣で黙々と問題を解きつづける涼音を横目で見る。 下校のとき雨に濡れて少し透けた白いYシャツに、ピンクのブラジャーの輪郭がぼんやりと写る。 …ピンクか…。 俺的には水色の方が好みなんだけどな…。 「…ねぇ信也、ここ分かんないよー…」 …まぁコイツにはピンクの方が合うのかもな。 水色ってほど落ち着いたキャラじゃねぇし…。 「…信也?」 …どっちかってゆうとエロいのはピンクだしな…。 …っつーことはパンツもピンクなのか…ふふっ…。 「……」 ブスッ 「…ッッてーーー!!!?」 不意に右目に走る衝撃。 涼音が指で俺の目を弾いたのだ。 いわゆる目潰しっていうヤツだ。 「バカ!変態! 人のブラ見てニヤニヤしてんじゃないわよ!」 無駄に顔を赤くして叫ぶ涼音。 怒るときに少しだけ瞳を潤ませるのがコイツの特徴。 「っせーな…デカい声出すなって。 …んで、何か言った?」 「この問2の級数が…」 俺は再びペンを握り直し、スラスラと問題を解きはじめる。 涼音は黙って俺の説明を聞き、時折頷く。
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!