罪と罰

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その笑みは、どこか不気味で妖艶だった。 リリスはふと歩みを止めた。最後の場所、とやらに辿り着いたようだ。 だが、そこには何も無く、約二メートルはあるだろう大きな鎌が地面に突き刺さっていた。 「ここは処刑台で、私のお気に入りスポットですぅ。 さてさて、最後に……」 そう言うとリリスは私の元へと歩み寄って来た。 「な……?」 「うふふ、最後に貴女の罪を裁きましょう♪ 人を愛し過ぎたあまりに、その人を殺し、バラバラにした貴女を……」 牙を剥き出して嗤いながら、彼女は私の腕を力強く握り、処刑台へと導く。振り払いたくても振り払えぬ悪魔の腕。 鎌の元へ辿り着くと、私は乱暴に投げ飛ばされた。 「う……ぁ……」 力が抜けていく……。どうして……、私の何が悪いの!? ただ、愛おし過ぎて失いたくなかっただけなのに……!! 「ここに来るまでに消えた人間は全て罪人。 今頃声を上げて各々の罪を償っている筈ですぅ。 ここに来るまで残れた方は、これからも良き行いを心掛けて下さいねぇ♪ でないと……こうなっちゃいますからぁ」 リリスは血に染まった深紅の鎌を手に取ると、残った人間達をまとめて何処かに消してしまった。恐らく、現世に戻されたのだろう。 だが、私の身体は戻される事無く、恐怖に意識を奪われていた。 「私、閻魔様に苛められるのが好きですけどぉ、人間を痛めつけるのも大好きなんですぅ」 鎌の刃先を私の首に当てると、ゆっくりと切り裂いた。赤い赤い血が、首を伝い、胸へと滴る。 「貴女は今、魂だけの存在。 私が魂を引っ張り出してここに連れて来たんですぅ。 これから輪廻転生の時まで、私がじっくりいたぶってあげますからねぇ♪ でも、輪廻転生まで魂が保たなかったら……痛みを抱いたまま永久に貴女は戻れませんからぁ」 「やめ……嫌ぁぁぁ……!!」 「さぁ、痛みに溺れながら罪を償いなさい……」 声にならない声を上げ、大量の鮮血に彩られ、私は、崩れていった――
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