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夜中に目が覚めた。
泣き声が聞こえたのだ。
その泣き声は「本当に誰かが泣いていたのか」それとも「僕の脳内が作り上げた物なのか」それはわからない。
ただ僕の目には天井に映る楕円形の目のようなシミが映っていた。
その天井に映る目が気になり、僕は朝まで寝る事ができなかった。
翌日、昨日一緒だったブロンドの女性が観光客向けのガイドブックを持って来てくれた。
「おはよう」
「おはよう」
「気分はどう?」
「あぁ、なかなか最悪だよ」
「どうしたの?」
「夜中に目が覚めてさ、そしたら天井のシミが目に見えて・・」
「あぁ、あれね、上の部屋との間にあるパイプから少しずつ水が漏れてきてたのよ。もう直したから安心して」
「そうか、まさかゴーストが出たりはしないよな?」
「あら、以外と可愛いのね、はい、これ昨日言ってたパンフレットね」
「ありがとう」
「タクシーも呼べるから、用があったらフロントに電話してね」
「わかったよ。」
彼女は右手を上げて部屋を後にした。
時計を見ると、現在8時。
時差ぼけが抜けてないのか体がダルい。
僕はもう少しだけ眠る事にした。
夢は見ないように祈りながら。
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