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彼女の部屋は白を基調とした色で、女の子の部屋というよりは大人の女性という感じだった。
「一体何があったの?」
僕はどう答えたらいいのかわからなかった、まだ頭の整理がついていなかったのだ。
「あの、えっと・・・」
僕は母国語で話をしていた。
「まずはココアでも飲んで」
「ありがとう。」
「あれから・・・部屋に帰って、眠たくなかったからカジノに行こうと思ったんだ」
「それでスーツなのね」
「あぁ、歩いてカジノに行こうと思ったんだけど、道に迷って・・・」
「なるほど」
「どうせ暇だったから、それもいいかと思って、道沿いにあるベンチに座ってガイドブックを読んでいたんだ、すると後ろで痴話喧嘩みたいなのが聞こえてきて」
「うん」
「ドイツ語で僕に向かって何かを叫んできたんだ」
「それで?」
「怖くなって逃げた」
「それで走ってるうちに私の家の前についた。と」
「そうなんだ…」
「わかったわ、じゃあ私が車でホテルまで送ってあげる」
「ありがとう、でも大丈夫」
「大丈夫じゃないからこそ走って逃げて、私の家の前でドラえもんって叫んだんでしょ?」
「はい…」
何も言えなかった。
日本人は困ったら「ドラえもん」と叫ぶと思われてはいないかと不安になった。
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